●ミステリーサークル
・ミステリーサークルは、
空飛ぶ円盤が作ったのだろうか?
ミステリーサークルや、
他のUGM(異常地上痕)がエイリアンによって作られらものだという確固たる証拠はない。
ミステリーサークルができた場所の周りで、
光が見えたという報告もいくつかあり、
畑の上を物体が飛び回っているのを撮ったビデオも2、
3ある。
その光はほとんど証拠にはならず、
ビデオのその物体も、
金属の薄片か紙が風に舞っているという感じである。
ミステリーサークルの“専門家”をテストしようという意図的な試みが行われ、
ミステリーサークルがマスコミの監視のもとに人工的に作られた。
そして専門家たちが呼ばれたが、
彼らはそれを本物だと断定した。
ミステリーサークルは、
空飛ぶ円盤が作ったものではないと思われる。
多くの気象学者は、
ミステリーサークルはイオン化プラズマ渦巻きなどの滅多にない自然現象によってできたものだと信じている。
起伏の多い丘陵地帯を吹く風が、
渦巻きを作るということはよくあることである。
そして、
何らかの条件下で(測定されたことは全くないが)、
渦巻きになった風が下向きに吹き出し、
作物をなぎ倒すのである。
ミステリーサークル研究家は、
このような現象を見た目撃者は2ダース以上はいると言う。
しかしあいにく、
空飛ぶ円盤がミステリーサークルを作ったのを見たと言う人はもっとたくさんいる。
このような渦巻きの実状を扱った科学記事は、
『気象学ジャーナル』によく登場する。
しかし、
その雑誌の編集者は、
この理論を提唱している第一人者テレアンス・ミーデン博士である。
風は部分的に作物を倒すことはできる。
この現象はロッジングと呼ばれる。
しかし、
畑に幾何学模様ができるというのは、
自然現象によるものとは言い難い。
ミーデンは、
複雑な円形、
楕円形、
さらに何と三角形(!)をも自然現象によって説明していたが、
その説は変更された。
しかし現在では、
ほとんどの円はいたずらで作られたものだが、
単純な形は自然現象によって説明できると言っている。
・ミステリーサークルは誰かがいたずらで作ったのか?
もちろんそうである。
有名なのは、
イギリスのダグ・バウアーとデイブ・コーリーが作った2件だけだが、
その他にも、
イギリスだけでなくカナダなどでも見つかっている。
さおやロープで刻んだものから、
鎖、
ローラー、
板、
測定器などを使った複雑な作り方までいろいろである。
さらに言うなら、
ミステリーサークルがいたずらで作られたものだということが証明できないからと言って、
エイリアンによるものだと決めつけてはいけない。
オッカムのかみそりの例もある(Section 1.6)。
・ミステリーサークルは放射性か?
ミステリーサークルが放射性だというのは、
UFOが作ったという見解を持つ人の間で広まっている主張だが、
これも正しくない。
ミステリーサークルの土をスペクトル分析したデータを調べてみると、
地表の高さにおいては放射能は検出されなかった。
しかし、
放射性だと主張している人たちは、
これについて反論している。
・ミステリーサークル内の植物に細胞の変化はあったか?
あったが、
それがどうしたというのだろうか。
このことを主張するUFO研究家やミステリーサークル研究家は多いが、
その証拠というのは大したものではない。
小麦の“結晶構造”に変化が起こったという写真が、
いくつかの雑誌とUFO関係の出版物に掲載されたことがある。
ここで使われていた方法は、
錬金術的分析である。
これは、サー・ケネルム・ディグビーが3世紀前に発明し、
普及したもので、
組織の一部を粗雑に処理した後、
その残りを結晶化させるという方法である。
ディグビーは、
他にも太陽光線の凝縮や、
“剣軟膏”の開発という“素晴らしい”発明をしたことでも知られている(剣軟膏というのは、
傷を治すのに傷口に塗るのではなくて、
剣の方に塗らなくてはならないという代物である)。
とにかく、
このような手法が使われているということは、
その“研究者”が信用できるかどうかは大変疑問である。
●UFOは人間を誘拐したのか?
空飛ぶ円盤に載ったエイリアンに誘拐されたと信じている人の数は、
何千、
何万にも上るはずである。
しかし、
それが現実に起こったことを証明する物理的な証拠を示した人は誰もいない。
それどころか、
“UFOアブダクション”現象が主観的なものであるという根拠となる要素はかなり多い。
おそらくその最大の根拠は、
そのような主張が文化を反映しているということである。
UFOアブダクションに遭ったという主張は、
1960年代後半にバーニー&ベティ・ヒル夫妻の話が有名になるまでは、
ほとんどなかったと言ってよい。
また、
UFOに乗った生命体の外見と行動は、
場所と年代によって実に多様である。
UFOアブダクションに遭ったという主張は、
北アメリカ以外の地域ではずっと少なく、
英語圏以外ではもっと少ない。
北アメリカ以外の報告件数は、
ホィットレー・ストレイバーの『コミュニオン』の出版以来、
増加しつつあるとはいえ、
北アメリカほどではない。
さらに、
UFOエイリアンとされる生命体の描写は、
明らかに文化を反映している。
北アメリカでは頭の大きい灰色のエイリアンが多く、
イギリスでは背が高くてブロンドで、北欧人風なのがほとんどである。
また、
アブダクティー(アブダクトされた人)の精液・卵子・胎児を盗む、
傷をつける、
体にインプラントするというエイリアンは、
バッド・ホプキンスの本が出るまでではほとんど報告されていなかった。
このような特別ひどい種類のアブダクションは、
北アメリカ以外ではほとんど見当たらない。
主な“UFOアブダクション”の話の中には、明らかに有名なSF作品から取ったと思われるものもある。
1964年2月22日に行われた催眠セッションにおいて、
バーニー・ヒルは、
自分をアブダクトしたのは“広角の目”をしたエイリアンだったと説明し、
絵を書いてみせた(このような特徴は、
SF映画の中でもきわめて珍しい)。
このセッションは、
彼がエイリアンの特徴について説明をした初めての機会だったが、
この日の12日前に、
テレビ番組「アウター・リミット」の第一回目の放映が行われている。
この番組に出てくるエイリアンは、
まさにこのようなユニークな特徴をしている。
また、
ヒルの話に出てくる他の要素は、
1953年の映画「火星からの侵略者」から取ったと思われる。
その映画では、
エイリアンたちは、
“ジミー・デュランテ”のような鼻をしていた。
また、
ある女性エイリアンは、
リラックスするために、
針を使って自分の目に何かの医学検査をしていた。
そして、
壁には星の地図がかかっていて、
ノートが記念に渡された。
そしてへその中の針のイメージ、
これまで映画と一緒である。
他のアブダクティーと称する人たちも、
「火星からの侵略者」からアイデアを借りてきていた。
脳のインプラント、
頭蓋骨に穴を開けるエイリアン、
滅びようとしている世界を復活させようとしてるエイリアン、
などである。
UFOアブダクションがどう行われたかということは、
元来、
アブダクトされたと主張する人を催眠退行実験にかけてのみ得られる情報であった。
最近では、
催眠術を使わなくても、
アブダクトされたことを覚えていると主張する被験者もいるというふうに一般に広まってしまったが、
本来はそういうものではない。
催眠術は、
いわゆる“隠れた記憶”を引き出す方法としては、
当てになるものではない。
そして、
このようなやり方で催眠術を使えば、
でっちあげや間違いも起こりやすい。
さらに、
催眠術をかけられている人に、
架空の出来事が起こったかのように説明すると、
被験者はそれを信じるようになってしまう場合があるということである
(『エンサイクロペディア・ブリタニカ(1974年)』のマーチン・オルヌによる「催眠術」の項と、Section 10.1の「記憶違いシンドローム」を参照)。
●なぜ牛が異常な死に方をするのか?
今までに、
異常な損傷のある死んだ牛やその他の動物が発見されてきた。
それらの動物は、
体の器官、特に生殖器が“外科手術的な正確さ”で切り取られているのだが、
地面には一滴の血も見られない。
このような出来事も、
エイリアンとの遭遇やUFOに関する報告と関連づけて考えられてきた。
しかし、
1. 牛の値段は非常に高い。一頭につき数千ドルはする。
2. 自然発生的原因による“放牧死”には保険がきかない(墜落死など)。
3. 心ない人が殺した場合には保険がきく(牛を撃ち殺した場合など)。
4. エイリアンが牛を殺した場合には、警察官がそのような報告書を書けば保険は下りる。
5. 牛を損傷するエイリアンたちは、郡の(警察管轄の)保険を尊重しているように見える。
6. 死んだ動物を切断する時には、生きている時に比べると、比較的少量の血しか出ないものである。心臓が血を送らないからである。
キャトル・ミューティレーションについての情報は、
イアン・サマーズとダニエル・ケイガンの『沈黙の証拠』が最良である。
この二人のジャーナリストは、
何かミステリアスなことが起こっていると信じ始め、
懐疑論者であることをやめて調査を始めた人たちである。
サマーズは、
ジェームズ・スチュワートの『キャトル・ミューティレーション――集団妄想』を出版した。
スチュワートは社会学者で、
報告のパターンを研究し、
新しい報告は、
それ以前のマスコミの報道に影響されていることを突き止めた。
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