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気の力 - 場の空気を読む・流れを変える ( 200/8/23 )






★ 今週の名著 ★



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■ 気の力 - 場の空気を読む・流れを変える

  齋藤孝著 文藝春秋

気の力―場の空気を読む・流れを変える (単行本)



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  気がきく人のいる空間には、

  つねにいい空気が流れている。



  空気を読んで周りに気配りができ、

  気を回して動ける



     そんな「気のセンス」のいい人は、

  組織やチームのなかで高く評価される。



  ビジネスでも教育の現場でも、

  できる人は例外なく気働きができる。



  社会生活を営んでいるすべての人に

  必要不可欠な素養、

  それが「気のセンス」だ。



  とくに日本の社会では、

  気がきく人がことのほか愛される。



  日本には、人と人との『あいだ』に流れる空気を大切にし、

  その機微を敏感に読み取ってきた

  独自の「気」の文化が根付いているからだ。



  気がきく、気配り、気遣い、気だて、気働き、気を回す、・・・

  気の用法一つとっても、非常に豊かなバリエーションがある。



  関係性を重視した日本語の構造や表現は、

  呼吸を基盤として身体文化とセットになって

  私たちの「気」の感性を豊かにはぐくんできた。



  そこで培われてきた気の力は、いまや急速に失われつつある。



▼ 場を読む



  気のセンスとは、

  場の空気を的確に読んで

  働きかけていく力のことだ。



  表情からかすかな変化を感じ取る力が、

  空気を読む力である。



  言い換えれば、場を読む力とは、

  「兆し」をとらえる力だ。



  誰かの表情に否定的な兆しを感じ取れれば、

  早めに手を打つことができる。



  まさに「全身の毛穴を開く」感覚で臨むことで、

  場の流れに対するセンスは身についてくる。





▼ 気のセンス



  「気」とは、身体から発せられているエネルギーだ。



  それが混じり合って

  場の空気というものはつくり出されている。



  自分の内側に流れているものだけではない、

  外側の人との『あいだ』を流れているものでもある。



  私たちのからだは、

  息を通して内と外が混じり合っている。



  自分の内側の世界と外側の世界を峻別しないで、

  そこに流れているものを「気」だと考える。



  外側に流れているものを

  内側の身体感覚でとらえるのだ。



  場に流れる気をつかむ感度にすぐれ、

  場の気の流れに的確に働きかけることができる、

  これが気のセンスのいい人だ。



  つまり、気のセンスとは、

  「場の空気の感知力」と「場の流れを変える力」の

  二つの要素からなる。



  気のセンスは、誰でも容易に磨くことができる。



  なぜなら、気のセンスは

  声や呼吸、背中の感覚といった、

  誰でもがもっている身体感覚と結びついた、

  日本人にとってなじみの深い文化だからだ。





▼ 気の感性の衰退



  もともと日本人は、人と人との『あいだ』に流れるものを

  つかもうとする感性が発達していた民族である。



  しかし生活様式が欧米化し、

  生活が合理化されていくにしたがって、

  連綿と培われてきた日本古来の伝統は、

  次々と崩されていく。



  「気」の文化を根底で支えていたのは、

  腰肚文化で培われていた身体感覚である。



  だが戦後教育において、

  武道や暗誦・朗読、四股、坐禅、呼吸法といった、

  それまで脈々と続いていた日本人の身体文化は切り捨てられ、

  生活環境の激変とともに、「気」に関する感性もまた

  急速に衰退していった。





▼ 「気」と息の文化



  「気」の根幹にあるのは、息の文化である。



  息はからだの内側と外側をつなぐものだ。



  古代から、「気」と「息」は

  非常に密接なものとして考えられてきた。



  深くゆるやかに丹田呼吸を行い、

  息を丁寧に感じてみると、

  しだいに自意識が解き放たれ、

  内と外が混じり合うような感覚になってくる。



  自分が呼吸をしているという感覚が消え、

  周りに「呼吸させられている」と感じるほどに、

  世界と溶け合ったような一体感が訪れる。



  息を吐ききって生まれたスペースに、

  自然とまた息が満ちてくる。



  この「積極的受動性」の感覚が、

  禅の精神性の境地であり、

  日本人の宗教性の根底にあった。



  呼吸を通して、内と外は溶け合い、

  世界と一体化する。



  「積極的受動性」という心身のスタイルが、

  日本人の「気」の文化の核心にはある。





▼ 気の流れを変える



  日本語にはさまざまな受身表現が数多くあるが、

  文脈のなかで柔軟に関係性を読み解き、

  『あいだ』に流れる機微を表現してきた。



  合気道、太極拳、柔道でも、基本にあるのは

  いかに相手を「受ける」かである。



  禅の修行においては、

  呼吸を通して内と外が混じり合う一体感、

  積極的受動性を身につけることを目指した。



  受動的な感覚のなかで

  物事を柔らかく受けとめてきた日本人の感性は、

  今度は積極的に「いかに場に働きかけるか」

  「流れを変えるか」といったときも、

  そのまま生きてくる。



  「気」はいかようにも、流れを変えられるものである。



  場が停滞しているとき、「気が合わない」とき、

  「気」のありようを変えれば、

  関係性も変えられる。



  気のセンスを磨いて、そこに積極的な流れをつくる。



  気の好循環は、生きる喜びの根源だ。



  心地よい気の交換は、

  十全に生きること、そのものでもある。





▼ 今ここにある気を感じる



  「気」は、古代インド、古代中国をはじめとして、

  宇宙の原理としてとらえられてきた。



  そうした「原理としての気」以上に、

  日本人が日常生活のなかで

  これまで当たり前のように使いこなしてきた

  「文化としての気」の日常用法を

  細やかに築き上げてきたところに、

  私たちはもっと誇りを持っていいと思う。



  まさに「なにげなく」行ってしまうところに、

  「気」の技の妙味はある。



  超絶的なパワーを求めるのではなく、

  「今ここにある気」を感じてみよう。



  日常のなかで「気」の技を感じ磨いてゆくことこそ、

  「気の力」復活のはじめの一歩であり、

  目指すべき目的である。







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■ 著者紹介 ■

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 齋藤 孝(さいとう たかし)

 東京大学法学部卒業。同大学大学院教育学研究科博士課程単位取得退学。

 明治大学文学部助教授を経て、現在明治大学文学部教授。

 2001年、『身体感覚を取り戻す』で新潮学芸賞を受賞、教育スタイル論

 の 提唱者として知られ『声に出して読みたい日本語』(2001年、草思

 社)が、150万部を超えるベストセラーとなり、同著で毎日出版文化賞特 

 別賞受賞。その後、専門の教育学、日本語教育学などの書籍からビジネ

    ス書、コミュニケーションを基礎とした関連書籍を多数執筆。

 専門は教育学。教育というものを広くとらえるために、日本語や心技体、

 コミュニケーション、健康法など、身体を基盤とした教育を基本として

 いる。また、三色ボールペンを用いた読書・情報活用法や、読書文化の

 重要性なども提唱している。その教育論は、本来の専門領域である教員

 養成以外にもビジネス現場や日常生活など、広く万人にも通じるように

 提唱されている。齋藤の提唱する教育論やビジネス論・身体論などは、

 総合して「齋藤メソッド」と呼ばれている。また、小学生向けの身体論・

 発声論を指導する学習塾を主催しており、こちらも「齋藤メソッド」と

 いう名を冠している。

 テレビ番組では、日本テレビ『世界一受けたい授業』に講師として出演

 の他、NHK教育テレビ『にほんごであそぼ』、フジテレビ『ガチャガチャ

 ポン!』の企画・監修をつとめた。またサントリーの清涼飲料水『DAKARA』

 のCMに出演、独自の体操法を披露した。

 2005年にはベスト・ファーザー イエローリボン賞を受賞。





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● この本の評価 ●

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■ 気の力 - 場の空気を読む・流れを変える

気の力―場の空気を読む・流れを変える (単行本)



■ 齋藤孝著 

  ■ 文藝春秋

■ 1,365円



★★★☆☆ 「この本の難度」

★★★★★ 「この本のオススメ度」      

   

 




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