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キリストの再臨とアメリカの政治 ( 200/7/18 )




アメリカのユダヤ系人口は600万人で、



全人口の2%にすぎない。







しかもその半分は、



パレスチナ問題を和平交渉で解決すべきだと考えるリベラルな人々で、



パレスチナ人やアラブ諸国を軍事力で制圧すべきだというタカ派の考え方を嫌っている。







2000年の前回大統領選挙では、



ユダヤ系有権者の8割は民主党のゴア候補を支持している。



人口比では少数派のユダヤ系が強い政治力を持てる理由の一つは、



ハリウッドやマスコミ、



学界、



法曹界など、



政治への影響力が強い業界にユダヤ系が多いことが一因かもしれない。







また、



上記のBBCの記事のように、



ユダヤ人は人数は多くないが、



フロリダ州という共和党と民主党の勢力が拮抗する州に多く住んでいるので大事にされるのだ、



という説明もある。







フロリダは2000年の大統領選挙で最後まで決着のつかない拮抗状態になった州で、



今秋の選挙でも拮抗しそうな場所である。







だがこれらの説明は、



ユダヤ系の半分はパレスチナ和平を支持しているのに、



昨今の米政界ではタカ派の主張の方がはるかに強いということの理由になっていない。







▼イスラエル建国で始まったキリスト再臨への道







米政界でイスラエル支持傾向が強まった原因は、



ユダヤ系米国民自身の投票行動よりも、



むしろイスラエルを支持するキリスト教右派勢力



(キリスト教原理主義、福音派プロテスタント)の動きであると思われる。







彼らは、



米国民の15−18%を占め、



共和党だけを見ると党員の33%を占めており、



ユダヤ系よりもはるかに大きな勢力である。











この派閥のキリスト教は、



聖書のヨハネの黙示録などに書いてあることがそのまま現実になり




「最後の審判」と「キリストの再臨」が起きる日が来ると考えている。









起きるとされていることを順番に書くと、




以下のようになる。











(1)ローマ帝国によって滅ぼされたユダヤ人の国イスラエルが再建され、




世界に散っていたユダヤ人が再び集まってくる。







(2)イスラエルは強大になり、




ユダヤ人が神から授かったと聖書にあるユーフラテス川からナイル川までの「約束の地」を領土として持つようになる。







(3)現在イスラム教の「岩のドーム」と「アルアクサ・モスク」があるエルサレムの「神殿の丘」に、




ユダヤ教の神殿(第三神殿)が建てられる(モスクと岩のドームは破壊される)。







(4)その間に反キリスト教の勢力が結集し、




イスラエルとの最終戦争になる。









その際、




全世界の王(指導者、軍隊)がイスラエルの「メギドの丘」




(ハル・メギド、ヘブライ語で「ハルマゲドン」)に召集される(メギドはイスラエル北部のハイファ近くの地名)。







(5)最終戦争でイスラエルが滅びそうになったとき、




イエス・キリストが再びこの世に現れる。









かつてイエスを信じず十字架にかけさせたユダヤ人は、




今やイエスを救世主と認めてキリスト教に改宗し、




信者にならなかった異教徒は焼き殺される。









その後、




1000年間の至福の時代が来る。











(実際には、聖書にこれらの出来事が順番に明確に書かれているわけではない。









旧約と新約の中のいくつかの節を並べて解釈していくと、




このような未来の展開が読み解ける、




という解釈の世界の話である)











これらの出来事の流れをふまえた上で、




実際に起きた出来事を振り返ると、




歴史が聖書の記述の通りに展開していると考えることが可能になる。









1948年にイスラエルが建国した時点で(1)が成立し、




1967年の第三次中東戦争でイスラエルがヨルダン川西岸、




ガザ、




シナイ半島を周辺国から奪って占領した時点で(2)が始まっており、




昨年のイラク戦争も(2)が進展していることを表すとともに(4)を誘発している。









中東和平交渉が座礁した2000年、




イスラエル右派のリクード党首だったシャロン(現首相)が「神殿の丘」に強行的に上がり、




パレスチナ人の怒りをかってテロを誘発したのは(3)につながる行為で(4)を誘発する意味があった。











▼聖書と現実のシンクロナイズ







かつてアメリカが入植・建国されていく過程で、




イギリスからアメリカ大陸への移住を、




イスラエルの再建になぞらえたキリスト教徒の勢力がいくつもあった。









彼らは、




自分たちの行動力でアメリカにイスラエルが再建され、




それをきっかけにして歴史が聖書の記述通りに展開してイエスの再臨が起き、




千年の至福の時代を早く実現させたいと考えた。









19世紀にイスラエルを建国しようとするユダヤ人のシオニズム運動が起きたときも、




イギリスやアメリカで同様の考え方が広がった。











原理主義の立場をとるキリスト教徒は世界中にいるが、




多くの信者は、




キリストの再臨を待ちこがれているものの、




自分たちの方から国際政治を動かして最終戦争の状態を作ろうとはしていない。









その意味でアメリカのキリスト教原理主義は少数派であり、




アメリカ的な能動的な価値観に基づいた特殊な存在である。









大昔から自然に形成された伝統のある社会に住む日本人など多くの国の人々にとって、




歴史は「自然に起きたこと」の連続体であるが、




近代になって建国されたアメリカでは「歴史は自分たちの行動力で作るもの」という考え方が強い。











キリスト教では、




イエスの再臨がいつ起きるかは人間が事前に知ることができないとされているが、




そうした受け身の状態に満足できないアメリカのキリスト教徒の中には、




キリスト教徒の全員が幸せになれるイエス再臨後の至福の千年間を早く実現したいがために




「聖書の記述と同じような出来事を起こし、




現実と聖書とをシンクロナイズ(同調)させれば、




キリストが再臨するに違いない」と考える人々がいる。











この立場に立つと、




キリストの再臨を起こすには、




イスラエルが建国されてユーフラテス川までを領土にする強大な国になり、




エルサレムからイスラム教徒を追い出してアルアクサ・モスクを壊す必要がある。









その一方で、




イスラム教徒が激怒してイスラエルに対する敵視を強めることは、




最終戦争の実現につながる動きとしてむしろ歓迎される。









また、




イスラエルの領土拡大や核武装、




中東和平の破棄、




キリスト・ユダヤ連合とイスラム世界との「文明の衝突」としてのテロ戦争の激化、




アメリカとイスラエルによるイラク統治、




シリアやイラン、




サウジアラビアの政権転覆などが支持される。











▼ケリーのタカ派化は南部の票田を奪還するため?







キリスト教原理主義を信奉する人々は、



アメリカ南部に多い。







以前は南部には民主党を支持する人々が多かったが、



1970年代後半からキリスト教原理主義など保守系の教会と共和党が結びつきを強めた結果、



共和党支持が増え、



民主党に対する支持は激減した。







今のところ、



南部の人々の多くはブッシュを支持しているが、



今秋の選挙に向けて民主党のケリー候補がイスラエルの対アラブ対決姿勢や、



イラク駐留の長期化、



先制攻撃などを支持したのは、



キリスト教原理主義の有権者を取り込み、



南部を共和党から奪還する目的があるのかもしれない。











911事件後、



アメリカでは南部だけでなく全米で



「キリスト教徒(善)と異教徒(悪、イスラム教徒)の戦い」が起きていると考える人が急増し、



原理主義的な傾向が強まった。







これは同時に、



これまで民主党の基盤だった「リベラル」の考え方を支持する人々の減少を生んでいる。











私が見るところ「リベラル」(自由主義)とは元来、



キリスト教の価値観がすべてだった中世の状態から自由になろうとする「脱・原理主義」の思考で、



宗教の価値観のみに縛られず、



思想の寛容さや個人の自由を尊ぶ傾向である。







社会の安定が確保され、



経済が発展している間は、



リベラルの考え方が心地よいが、



911後のテロ戦争のような宗教戦争が起きると寛容さは吹き飛び、



リベラルは縮小し、



原理主義的な二元論が席巻する。







今後、



テロ戦争がまだまだ続きそうな中で、



民主党の陣営がリベラルを見放してタカ派的な考え方を強めるのは、



政治の現実としてやむをえないこととも思える。











911後のアメリカでは「ブッシュ政権(善)とイスラム過激派(悪)との戦い」という構図があり、



ブッシュ政権が支持されていたが、



ケリー陣営や、



ブッシュを嫌う人々は、



リベラルの「寛容性」を強調したり、



アメリカがはまっている「宗教戦争」そのもののおかしさを指摘することをあきらめ、



代わりに善悪二元論を容認して



「実はブッシュは善のふりをした悪なのだ」という善悪の逆転を引き起こす方が得策と考えているのかもしれない。







ブッシュがサウジアラビアとつながっていることを強調する映画「華氏911」も、



その流れの中にあるように見える。











▼共和党右派は軍産複合体・イスラエル右派・キリスト教右派の3者連合







民主党のリベラルに対抗するかたちで、



共和党がキリスト教的な価値観を重視するようになったのは1970年代後半以降のことだ。







当時の共和党は、



金持ちと軍事産業などから支援されていたものの、



票田となる草の根勢力を持っておらず、



それまでの50年間の12回の大統領選挙のうち4回しか勝てていなかった。







1970年代後半、



この体質を変えるために共和党右派は原理主義的な保守派キリスト教勢力に接近し、



イスラエルを支持する外交姿勢のほか、



中絶や同性愛、



性教育の問題などに関して、



彼らが好む政策を掲げるようになった。











それまで、



保守派のキリスト教勢力は、



ワシントンの中央政界は腐敗しており、



反キリスト的な「世界政府」(国連などの国際機関)とつながっているとして嫌う傾向が強く、政治活動に消極的だったが、共和党右派からの接近によって、



熱心な政治勢力へと変身した。







キリスト教原理主義を信奉する人々には低所得者層が多く、



従来はどちらかというと民主党を支持していたが、



その数百万人の有権者が共和党支持へと鞍替えした。







それ以来、



クリントンの2期を除き、



6回の大統領選挙のうち共和党が4回勝っている。











その最初の成果は、



右派好みの保守的な家族重視の価値観を掲げて1980年に当選したレーガン大統領だった。







選挙戦が始まった1979年には、



キリスト教原理主義の団体「モラル・マジョリティ」が結成され、レーガンを支援した。







この団体は、



イスラエルを強く支持していたほか、



米ソ間の核戦争が起きれば最終戦争としてキリストの再臨が実現すると主張し、



アメリカがソ連との核軍縮を進めることに反対していた。







この主張は、



共和党右派内の軍事産業の主張と連動していた。











1970年代末に起きた共和党右派とキリスト教原理主義との結合は、



イスラエルの右派勢力であるリクード党も加わった3者の結合だった。







しかも、



イスラエルの方からアメリカの共和党右派とキリスト教原理主義に働きかけ、



3者連合を実現させたとの指摘がある。







このときイスラエルの代理勢力としてレーガン政権に送り込まれたのが「ネオコン」だったと考えられる。











▼右派の強化で始まった中道派との対立の20年







共和党内では、



それまで国際協調路線を掲げる中道派が主流だったが、



右派がイスラエルの戦略力とキリスト教原理主義の得票力を身につけて台頭したため、



党内での両派の権力争いが激しくなった。











レーガンの初期には右派が強かったが、



イスラエルのレバノン支配をアメリカがバックアップするはずだったレバノン侵攻が失敗するとともに、



イラン・コントラ事件が起きて政権内のイスラエル系勢力が弱体化し、



その後レーガンはゴルバチョフと対話して冷戦を終わらせる中道派的な方向へと180度転換した。







ソ連の方は1970年代から冷戦を終わらせたいと考えていたが、



軍事産業の事情があるアメリカの側が終わらせたくなかった。







レーガン政権初期に右派が冷戦の対立を再燃させる危険な行為をしたため、



その後中道化したレーガンは、



ソ連と話し合って冷戦を終わらせる決断をしたのではないかと推測される。











その後の湾岸戦争では再び右派的な作戦が行われ、



サダム・フセイン大統領を引っ掛けてクウェート侵攻させたが、



その後パウエル統合参謀本部長ら中道派の巻き返しの結果、



米軍の反撃はクウェート領内にとどまり、



米軍がイラク領内に深入りして泥沼化する事態は避けられた(この続きにあたる戦争が2003年に起こされた)。







同時期にパレスチナではオスロ合意に向けた交渉が展開していたが、



これはイスラエルの拡大を封じ込める中道派的な動きだった。







湾岸戦争とオスロ合意の2正面で中道派的な態度を取り、



タカ派を疎んじたパパ・ブッシュ大統領は再選を許されなかった。











その後のクリントン政権では、



モニカ・ルインスキとの不倫が問題にされたが、



これはまさに保守派のキリスト教的な価値観に基づいた糾弾のやり方だった。







息子のブッシュ政権は、



最初は右派と中道派のバランスをとろうとしたが、



911事件を機に一気に右派に傾いた。











▼聖書との同調を感じさせるイラク占領米軍政府の政策







昨年からのイラク戦争では、



米占領軍政府が、



キリスト教右派勢力に対するイメージ戦略ではないかと感じられるいくつかの政策を行っている。







その一つは、



今年4月末に制定されたイラクの新国旗である。







この国旗は、



白地に青色の三日月が描かれ、



その下に2本の青・黄・青の順番に3本の線が入っているもので、



イラク人たちは「イスラエルの国旗を想起させる」として猛反対した(イスラエルの旗は白地に青色の星が描かれ、



上下に青線が入っている)。











その後、



イラク人たちはこの旗を好まない姿勢を続けた結果、



いつの間にか以前のフセイン政権時代の国旗が復活し、



6月末に成立したアラウィ政権は、



公式に以前の旗を使っている。







イスラエル風の新国旗が結局どういう扱いになったのか、



廃止されたのかどうかも発表されず、



イラク人政府も米当局も、



この件については全く何も語っていない。







謎のままである。











キリスト教原理主義を意識した政策ではないかと思われるもう一つは、



米軍がイラクを占領し始めたばかりの2003年4月15日、



米軍がイラク人各派を集めて最初の会議を開催した場所が、



イラク南部の町「ウル」だったことである。







ウルは、



古代メソポタミア文明の発祥の地の一つで、



イスラム教、



キリスト教、



ユダヤ教の3宗教に重要人物として登場するアブラハムの故郷である。







それで、



ウルはイラクと中東の再生を開始する場所としてふさわしいのだとアメリカでは報じられたが、



これには疑問がある。











聖書によると、



アブラハムはイスラエル人の始祖で、



ウルからカナンの地(イスラエル周辺)に移住した後、



ユダヤ人の代表として神様から中東一帯(ナイル川からユーフラテス川までの地域)を授かった。







一方、



イスラム教のコーラン(クルアーン)では、



アブラハムは預言者の一人であるが、



ユダヤ教徒としては描かれておらず、



移住の話も出てこない。











ウルという地名を聞いて特に熱狂するのは、



イスラム教徒ではなく、



イスラエルの拡大を信奉するユダヤ教徒とキリスト教原理主義の人々であり、



このことから、



米軍がイラク国内での最初の会議の場所にウルを選んだのは、



米国のキリスト教原理主義の人々へのメッセージだったと感じられる。







(イスラエルの人々は右派も含め、現実的な思考を好む。







このような象徴的な行為に熱狂するのは、



アメリカ人の宗教右派だけだと思われる)











▼矛盾するイスラエルとキリスト教右派の最終目的







911からイラク戦争後までのアメリカは、



共和党右派を構成する軍事産業、



キリスト教原理主義、



イスラエル右派の3つの勢力のために存在しているかのような状況になっているが、これが今後も続くかどうかは分からない。







キリスト教原理主義は、



イスラエルの拡大を支援しているが、



それはイスラエルとイスラム教徒との戦いが激化してキリストの再臨につながるからであり、



キリストが再臨したらユダヤ教徒はキリスト教に改宗するか、



異教徒として焼き殺される群衆の中に入れられて「用済み」になる。







これに対してイスラエル人の目標はイスラエル国家の生き残りであり、



この点で、



両者の同盟関係は矛盾をはらんでいる。











今のイスラエルは、



経済的に破綻しかけており、



人口増に必要な海外からのユダヤ人移民も減り、



存亡の危機に立っている。







イスラエル人の多くは、



アラブ側を信用していないものの、



中東を安定させることがイスラエルの存続に必要だと考えており、



イスラエルがアラブ諸国を支配する大イスラエル主義には反対している。







シャロン首相はガザ撤退を進めているが、



これもイスラエルの生き残りのための戦略であると思われる。







西岸に建設中の隔離壁も、



壁のコースを変更して譲歩できるという点で、



欧米側と交渉しつつ壁のルートを決めるという現実的な戦略に見える。











(イスラエルが西岸やガザでパレスチナ人に対して行っている弾圧はひどいことだが、



イスラエル側の戦略としては、



ガザ撤退と隔離壁の建設は現実的な対応だと感じられる)











これに対し、



アメリカの宗教右派や、



それとつながっているイスラエルの極右勢力は、



もっと破壊的なことを考えており、



シャロン首相に対する暗殺予告も出ている。







現状はすでに「アラブとイスラエル」よりも、



イスラエルやアメリカにおける「現実派と右派」の戦いの方が熾烈になってきているようにも感じられる。

   

 




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