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「華氏911」とイスラエル ( 200/7/18 )




マイケル・ムーア監督が作ったブッシュ大統領批判の映画「華氏911」が、



アメリカで大人気となった。







この映画は、



ブッシュ一族と、



サウジアラビア王室やその配下のビンラディン一族が、



石油利権によってつながっていて、911事件にはサウジアラビア当局が関与していたにもかかわらず、



サウジと親密なブッシュ大統領はそれを隠そうと試み、



米国民の目をそらすためにイラク戦争を始めた、



と示唆する内容になっている。











映画の公開前に、



ウォルト・ディズニー社が配給を止めたり、



ブッシュ大統領の選挙参謀であるカール・ローブがこの映画の公開を阻止しようと動いたりして、



この映画はブッシュ政権にとって手痛いイメージダウンにつながるのではないかと予測された。











この映画は、



カンヌ映画祭で受賞するなど、



米政界における政治闘争の道具になっていることも感じさせた。







上映が始まるとドキュメンタリー映画としてはアメリカ映画史上最高の興行収入を記録した。







そして、



多くのアメリカ人がこの映画を見て初めてブッシュ政権にだまされていたのではないかと感じていると評され、



この映画は11月の米大統領選挙の結果を変えることになるかもしれない、



とも指摘されている。











▼「謀略をやっているのはムーアの方ではないか」







ブッシュ政権を憎む人が世界中で増えた中で、



マスコミで報じられてこなかったブッシュ政権の暗部を描いたこの映画が絶賛され



「ムーアはブッシュの謀略を暴いた」という指摘があちこちから出てくるのは当然といえる。







ところが、



米国人の中でも、



911以来、



アメリカの政治情勢をウォッチし続けてきた人々はむしろ、



この映画を見て「謀略をやっているのはムーアの方ではないか」と感じている。











というのは、



この映画の内容には、



911からイラク戦争にかけてのブッシュ政権の動きを作ったネオコンの存在が全く盛り込まれていないからだ。







ネオコンはイスラエル右派と親密であるとされるほか、



イラク駐留米軍はイスラエルが立てた戦略に依存している感もあり、



ブッシュ政権の裏側を描くなら、



ネオコンとイスラエルの存在について触れないのはおかしいが、



この映画には、



全くそれが描かれていない。







ネオコンの中でウォルフォウィッツだけは映画に出てくるが「ネオコン」としてではなく「共和党右派」として登場している。











私が見るところ、



911以前は、



サウジアラビアとイスラエルとが、



アメリカ政界における影響力を競っていた。







サウジアラビアは石油利権を背景にし、



ブッシュ家やロックフェラーなど中道派系の勢力とつながっていたのに対し、



イスラエルは外交における諜報力や、



アメリカにおけるユダヤ系とキリスト教右派(福音派)の影響力の強さを背景にタカ派とつながり、



拮抗していた。







そこに911事件が発生し、



それがサウジアラビアのせいにされた結果、



米政界におけるイスラエルとタカ派の影響力が増大し、



現在に至っている。











911事件で旅客機をハイジャックして世界貿易センタービルなどに衝突させた犯人として



FBIが発表した19人のアラブ人(うち15人がサウジアラビア人)のうち、



6人のサウジ人は、



人違いであるとすでに発表直後に判明している。







このことは英米のマスコミで報じられたものの、



広く問題にされることもなく、



今日まで人違いを含んだ「犯人リスト」がそのまま流布している。







この件などは、まさにムーアが「華氏911」で指摘すべきテーマの一つであったが、



映画は逆にサウジ叩きに終始している。











911事件にサウジ当局が関与していたという見方は、



イスラエルとタカ派にとってプラスになり、



中道派を不利にした。







イスラエルとタカ派をつなぐ勢力であるネオコンはイラク戦争前、



イラクを皮切りにした中東の強制民主化計画の次の標的としてサウジアラビアを挙げていた。







このような状況から考えると、



911とサウジアラビアのつながりを強調する一方で、



イスラエルやネオコンの影響力について全く語っていない「華氏911」は、



タカ派やイスラエルが有利になるような配慮を持って制作された可能性が大きい。











この映画を見て、



ムーアとネオコンはつながっているのではないか、



と指摘する分析もある。







確かに、



この映画の主張を鵜呑みにする人が多いほど、



イラク戦争を起こして泥沼化させた張本人であるネオコン勢力は、



罪をブッシュとサウジアラビアに押し付けることができ、



自分たちの責任を問われずにすむ。











▼ネオコンを取り込んで変質する民主党ケリー候補







この図式だと、



ネオコンはブッシュを見放したことになるが、



その兆候はある。







ブッシュ大統領は、



イラクの泥沼にはまった後、



国連に助けを求めたり、



EUとの再接近をはかるなど、



タカ派をやめて中道派的な姿勢を強めている。







中東における「強制民主化」をシリアやイランにも広げたいネオコンは、



イラクにおける兵力増強を主張しているが、



この主張は、



ブッシュの意を受けて増強の必要はないと主張し続けるラムズフェルド国防長官と衝突している。







(兵力を増強すると徴兵制を復活させる必要が増し、



それはブッシュの人気を下げる)











伝統保守派(孤立主義)で反タカ派の政治家であるパトリック・ブキャナンは今年4月の段階で、



民主党大統領候補のジョン・ケリーがイスラエルを支持するのなら、



ネオコンはブッシュ支持からケリー支持へと転換するだろう、



と予測している。











ネオコンに支持してもらう前提条件を満たすかのように、



以前はイスラエルに対してどちらかというと批判的だったケリー候補は、



最近ではイスラエルを支持する主張を積極的に行っている。







ケリーは、



立候補を表明した直後の2003年秋には、



パレスチナ問題に関してイスラエルを批判する立場をとり、



自分が当選したら、イスラエルに批判的なことで知られるカーター元大統領を中東和平交渉の特使にすると表明していた。







だが、ケリーは今春になって態度をイスラエル寄りに転換し、



6月に出した外交方針の中では、



イスラエルはパレスチナ人によるテロに対抗して自衛する権利があるとして、



パレスチナ人に対するイスラエルの弾圧を支持する立場を明確にした。











パレスチナ人のイスラエル流入を阻止するため、



イスラエルが西岸占領地に建設している隔離壁について、



ケリーは昨年の段階では反対の意を表明していたが、



今春には支持に転じた。







また最近、



ケリーは副大統領候補にジョン・エドワーズ上院議員を選んだが、



エドワーズは民主党の上院議員の中で親イスラエル派として知られている。











ケリーの家系は、



父方の祖父がユダヤ系からカトリックに改宗した歴史があり、



本人はキリスト教徒だが、



弟であるカメロン・ケリーが結婚を機にユダヤ教に改宗している。







カメロンは最近イスラエルを訪問し、



政府首脳に会ってイスラエルに対する兄の改心について説明している。











ここまでの話をつなげると、



ケリーが強いイスラエル支持を表明し、



ネオコンがブッシュを見捨ててケリー支持に鞍替えしそうな中で、



ブッシュを痛烈に批判する一方でネオコンやイスラエルについては沈黙する「華氏911」が封切られ、



ブッシュの再選が危うくなる、



という流れになっている。











「華氏911」だけでなく一般に、



サウジアラビアや、



サウジとブッシュ家が共同で投資していた投資会社「カーライル」を強く非難する主張は、



真剣に受け止めない方がいい。







サウジ王室とブッシュ家、



中道派、



石油業界とが談合して儲けてきたのは事実だが、



それはこのテーマの話全体の半分にすぎない。







残りの半分にはイスラエルとネオコンがあり、



全体像としてイスラエルとサウジアラビアとの米政界での勢力争いがある。







話の半分にだけ人々の注目を集めることで、



残りの半分を見えなくする仕掛けがある。

   

 




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